最近通勤時間にAudibleでヘルマン・ヘッセ著『車輪の下』を聞いている。主人公ハンスの心身ともに疲弊していくさまが聞いていてとても辛い。

疲れきってしまわないようにすることだね。そうでないと車輪の下じきになるからね

周囲の期待を満足させるべく勉学に励み、子供らしくいられる時間の大部分を犠牲にしているハンス。頭痛に悩みながら自己を必死に抑制し少しずつ人間性を失っていくさまは、毎日身を削りながら働く現代人の有様に重なって見える。

高度にシステム化している現代社会で上手く立ち回り出世していくにはある程度『システムの奴隷』本書の言葉を借りれば『車輪の下敷き』になって働く必要があることは、比較的大きな規模の企業で働き始めてから切にそう思い知らされた。

ハンスにとって(束の間ではあるが)処方箋は神学校で出来た親友ハイルナーとの危うい友情や子供らしくいられた時代への回帰だった。エマとのひとときの恋愛もそうか。私たちへの救いはどこにあるんだろう。